教育学部では、学校現場における諸課題に対応できる実践的指導力を身につけた地域に貢献しうる教育人材の育成を目指した教育を行います。教育学部のカリキュラムは、教員養成コア科目群、教職専門に関する科目群、教科教育に関する科目群、教科専門に関する科目群から構成されています(図 教員養成コア科目群を核としたカリキュラムを参照)。ここでは、教員養成コア科目群について説明します。
図 教員養成コア科目群を核としたカリキュラム |
教員養成コア科目群は、「実践科目」と「省察科目」から構成されています。「実践科目」とは、教育現場において体験学修を行う科目をさし、「省察科目」は体験学修を教育理論と結びつける科目をさします。これらの科目は修学年次に応じて段階的に構成されています。
- 1年次:
- 実践科目:教育実地研究基礎(学校現場において児童生徒との交流を中心とした体験を行います。)
- 省察科目:教職入門(教職に向かう意識を形成し、必要な知識を明確化し、探究し続ける構えを形成します。)
- 2年次:
- 実践科目:事前実習(上級生の教育実習を見学し、次年度に向けての心構えを形成します。)
- 省察科目:事前・事後指導(教育実習の目的と意義、教育実習への心構え、教員としての在り方について省察します。)
- 3年次・4年次:
- 実践科目:教育実習(教員としての資質能力形成を目指して活動を行います。実習校の教育方針、組織の在り方、学校・学級運営、学校行事や日課について理解し、学校組織の一員として、教職員と協働する姿勢で活動します。)
- 省察科目:事前・事後指導(事前指導では、教育実習生として学校の教育活動に参画する意識を高めます。事後指導では、教育実習を経て得られた成果と課題等を省察するとともに、教員免許取得までに修得すべき知識や技能等について理解します。)
なお、4年次には、全学年を通じた「学びの軌跡の集大成」として教職実践演習があります。教職実践演習では、教育課程の他の授業科目の履修や教職課程外でのさまざまな活動を通じて、学生が身につけた資質能力が、教員として必要な資質能力として有機的に統合され、形成されたかを確認します。教職実践演習には、教員として求められる4つの事項が含まれています。
- 教員として求められる使命感や責任感、教育的愛情等に関する事項
- 教員として求められる社会性や対人関係能力に関する事項
- 教員として求められる幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項
- 教員として求められる教科等の指導力に関する事項
教育学部では、教員養成コア科目群を核とし、「学びのあしあとの会」による学修目標の設定と振り返りを行いながら、理論と実践の往還に基づいた体系的な教育課程を編成しています。「学びのあしあとの会」を実施することにより、学生の学修を深化させ、新たな学修意欲を喚起させるとともに、職業適性や将来設計について考える機会を提供しています。
「学びのあしあとの会」における学修目標の設定と振り返りの記録には、三重大学キャリア支援システムを用いています。三重大学キャリア支援システムは、学生、教員、職員が協働して利用可能なwebベースの実践ツールとして開発されました。学生は、「学びのあしあとの会」において、三重大学キャリア支援システムにアクセスし、学修の振り返りや新たな目標等について入力します。年度末には、全学年に対し「教育学部ディプロマ・ポリシーの取組状況」と「教員としての資質の向上に関する指標(三重県教員育成指標)の達成状況」についての自己評価を行っています。教員や職員は、学生が入力したデータを参照し、定期的にあるいは必要に応じて修学指導を行っています。また、収集したデータの整理・解析を行い、授業改善や教員採用試験対策等の検討を行っています。教育学部では、大学内の全てのリソースを活用し、学生のキャリア形成を支援しています。
なお、「学びのあしあとの会」は、学年ごとに以下のスケジュールで開催されています。
学年 | 実施日 | 内容 |
1年 | 入学時 | 高校までの学びを振り返るとともに、大学での学びや将来設計について考える |
9月(前期成績発表時) | 1年前期の学びを振り返り、後期の目標を設定する | |
2月(後期授業終了後) | 1年の学びを振り返り、2年の目標を設定する | |
2年 | 2月(後期授業終了後) | 2年の学びを振り返り、3年の目標を設定する |
3年 | 2月(後期授業終了後) | 3年の学びを振り返り、4年の目標を設定する |
4年 | 10月(教職実践演習初回) | 4年間の集大成に向けて、後期の目標を設定する |
2月(教職実践演習最終回) | 4年間の学びを振り返る |